日本のCBAM対象品輸出データ:ねじ・鋼材・アルミの品目別分析
CBAMの本格適用で、EUの輸入者は日本の仕入れ先に排出量データを求め始めた。影響を受けるのはどの品目で、どれくらいの規模なのか。EUの公式統計から確かめる。
2026年1月、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)が本格適用に入った。鉄鋼やアルミなどをEUへ輸入する企業は、製品に含まれる排出量を申告し、それに見合う証書を買わなければならない。申告するのはEU側の輸入者だが、排出量のデータを持っているのは作った側、つまり日本のメーカーだ。
では、日本からEUへ渡っているCBAM対象品はどれくらいあるのか。Eurostatの貿易統計を品目ごとに集計すると、2025年は約1,451百万ユーロ(約14.5億ユーロ)、85.9万トンだった。
半分は鋼板、残りの多くは部品
最も大きいのは鋼板・鋼帯で、706百万ユーロと全体のほぼ半分を占める。これは主に大手鉄鋼メーカーの製品で、CBAMへの対応体制もすでにある。
目を向けたいのはその下だ。ねじ・ボルト、その他の鉄鋼製品、鋼管・管継手、線材・鋼線。中小の部品・加工メーカーが多いこれらの品目を合わせると、513百万ユーロになる。
3年間の推移を見ると、鋼板・鋼帯は2023年の1,616百万ユーロから半分以下に落ちた。一方で、ねじ・ボルトや鉄鋼製品はほぼ横ばいか、むしろ増えている。
| 品目グループ(百万ユーロ) | 2023 | 2024 | 2025 | 2025(トン) |
|---|---|---|---|---|
| 鋼板・鋼帯 | 1,616 | 1,156 | 706 | 712,151 |
| アルミ製品・地金 | 219 | 127 | 195 | 42,260 |
| ねじ・ボルト・ナット | 187 | 185 | 176 | 21,127 |
| その他の鉄鋼製品 | 114 | 128 | 144 | 14,720 |
| 鋼管・管継手 | 105 | 102 | 101 | 14,962 |
| 線材・棒鋼・鋼線 | 147 | 105 | 92 | 35,187 |
| その他(一次品・肥料・セメント) | 61 | 57 | 36 | 18,288 |
太字は中小メーカーが多い品目。
ねじ・ボルトはどこへ行くのか
日本製のねじ・ボルト・ナット(HS7318)は、2025年に176百万ユーロ、約21,127トンがEUへ渡った。輸入した国を並べると、ドイツに続いてポーランド、チェコ、ハンガリーといった中東欧の国が上位に入る。
いずれも日系の自動車・部品工場が集まる国だ。つまり、日本の部品メーカーにデータを求めてくる相手は、欧州にある日系の現地法人であることが多いと考えられる。
申告するのはEUの輸入者。データを持っているのは、日本の作り手だ。
これからの期限
当面の山は2027年だ。2月1日にCBAM証書の販売が始まり、9月30日が2026年分の年次申告の期限になる。日本の仕入れ先へのデータ要求は、この前に集中するだろう。
- 2026年1月1日 本格適用の開始
- 2027年2月1日 CBAM証書の販売開始
- 2027年9月30日 2026年分の年次申告の期限
- 2028年(案) 川下製品180品目の追加
さらに欧州委員会は、鉄鋼・アルミを使った川下製品180品目を2028年から対象に加える案を出している。ジェトロの試算では、日本からEUへの輸入額に占める対象品の割合は2.9%から5.0%に増える。影響を受ける会社は、今後さらに広がる。
よくある質問
日本からEUへ輸出されているCBAM対象品はどれくらいありますか?
Eurostatの貿易統計によると、2025年にEUが日本から輸入したCBAM対象品は約1,451百万ユーロ(約85.9万トン)です。最大は鋼板・鋼帯(約706百万ユーロ)で、主に大手鉄鋼メーカーの製品です。
中小企業に関係するCBAM対象品は何ですか?
ねじ・ボルト・ナット(HS7318、約176百万ユーロ)、その他の鉄鋼製品(HS7326)、鋼管・管継手、線材・鋼線などで、合計は約513百万ユーロです。部品メーカーや加工メーカーが多い品目です。
CBAMの申告と証書購入はいつからですか?
本格適用は2026年1月1日からです。CBAM証書の販売は2027年2月1日に始まり、2026年の輸入分の年次申告と証書の償却の期限は2027年9月30日です(Regulation (EU) 2025/2083による改正後)。
小口の輸入者も対象ですか?
改正により、輸入者ごとに年間50トン以下の輸入は対象外になりました。ただし日系の自動車工場や大手商社など大口の輸入者は対象で、その仕入れ先である日本企業に排出量データの提供を求めます。
日本のサプライヤーは何を求められますか?
EUの輸入者は、製品ごとの体化排出量(直接排出と前駆体の排出)を報告します。デフォルト値も使えますが、割高になるため、取引先から実測値の提供を求められる例が多いとされています。ねじメーカーであれば、線材メーカーから受け取る前駆体の排出量と、自社工程のエネルギー使用量を製品に配分したデータが必要になります。
2028年以降は対象が広がりますか?
欧州委員会は2025年12月、鉄鋼・アルミの川下製品180品目を2028年から追加する案を公表しました。ジェトロの試算では、日本からEUへの輸入額に占める対象品の割合は2.9%から5.0%に増えます。
データについて
Eurostat Comext(DS-045409)から、報告国をEU27、相手国を日本、輸入に限定し、CBAM規則の附属書Iに掲げる品目をHS4桁で取得した(2026年9月取得)。品目グループの区分は当サイト独自のもの。7202(フェロアロイ)は一部のみが対象だが、4桁全体で集計している。制度の記述は Regulation (EU) 2025/2083 と、ジェトロ「EU CBAM本格適用:変わる競争環境と各国・企業の対応」(2026年9月)に基づく。HS4桁のデータ(CSV、CC BY 4.0)
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